私ども事業所では介護観・価値観を共有するために「ひとつ屋根の下の思い」(21項目)を作っています。 「ひとつ屋根の下の思い」の軸になっている、二つの考え方を少しお話ししたいと思います。
一つ目は“ケアマネジメントとしての価値観・判断基準”と“事業所としての価値観・判断基準”です。先日、他のデイサービスをご利用されていたご利用者の方より、掃除・お茶碗ふき・洗濯物たたみを手伝って頂いている時に、こんな声が上がりました。「初めてこんな事、させられたわ」初めて来て頂いたスタッフも同じで、「こんな事、一人でしてもらってもいいのですか?」「包丁で料理してもらって危なくないですか?」と言葉がでます。 ケアマネージャーからも、同じような声を聞く事があります。 逆に「母にもっと家事をやって欲しかったんです」「昔、父は手先が器用だったので何でも手伝うと思います」と、私ども事業所の考え方に共感して頂ける、ご家族・ケアマネージャーもおられます。
介護に長く携わっておられる方ほど、良くも悪くも、その方の介護観・判断基準を持っておられます。 この介護観・判断基準はどちらが正解ではなく、私ども事業所の介護観・判断基準をかかわる人々に伝え、両面の意見をぶつけ合いながら、ご利用者ご本人にベストな解を生み出していくように心がけています。ケアマネージャーの判断基準の中には、高次脳機能障害の方がちょっと騒いでいたり、認知症の方が同じことを大声で何度も言っていたりすると、他のご利用者は大丈夫ですか?他の施設のほうがいいのではないですか?と判断されることがあります。スタッフがもし自分だけの介護観・判断基準で事業所の環境を作ってしまえば、皆さんも経験があると思いますが、他のご利用者にもスタッフの言葉・介護観が伝わり、上記のような方々は「居場所・役割」がなくなります。介護現場では、ご利用者の出来る事をかかわる人々が取上げ「居場所・役割」をなくしている事がとても多いです。そのため私どもご利用者の多くのご家族からこんな声が聞かれます「お父さん・お母さん、こんな事するんや、できるんや!」
私どもの様な地域密着型通所介護では、どのような状況の方でもまず受け入れ、向き合って見る。できる事は自分でして頂く。自立支援を普通の生活の中でいかにやらされ感にならずに、取組んでいく事が出来るかが、もう一つの考え方になります。
長くなってしまいましたので、次回のブログでお話しさせて頂きます。